zekeの日記

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大文字山に39回登った話

前口上

これはKumano dorm.(2nd) Advent Calendar 2021の14日目の記事です。

adventar.org

ハッシュタグ#kmnac2021」で宣伝&感想とかをつぶやこう!

本題

タイトルの通り、寮祭期間中に京都は東山、送り火で有名な大文字山に39回登った。 どうしてこんな奇行に走ったのかを説明するには、ある寮祭企画を紹介しないといけない。

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その企画の名前は「1日1回大文字火床」である。Twitterのbioには「生活習慣が崩壊しがちな寮祭期間。大文字山を登ることで健康になりませんか?」とゆるふわ文句が並べられているが、ところがどっこい怪我人 が出るほどの鬼畜企画だったのである。

企画自体はいたってシンプルで寮祭期間中にできるだけ登るというものだ。ただし一日三回までという制約がある。一日三回登るというのも少々ネジが飛んでいる気がするのだが、問題はそこじゃない。さらに追加されたルールとして「登り放題の日を一回だけ設けられる」というものがある。このルールは字面以上に鬼畜だ。考えてほしい。一日は24時間で1440分である。その間常に登り続けるなど正気の沙汰ではない。比較として寮祭名物「エクストリーム帰寮」を例に挙げるが、この企画は平均時間歩き続けるものだ。

自分がこの企画に参加しようと思ったのは11/27の18:00である。ちょうど日本シリーズ第6戦が行われていて、オリックスとヤクルトが白熱した戦いをしていた頃だ。ちょうど実験レポートのキリがよく、日曜何やろうかなと考えていた。その時、ふと最近フォローされたアカウント「1日1回大文字火床」の存在を思い出し、ためしにやってみるかとゆるふわな気持ちで準備を始めた。まず準備したのは靴だ。一年間履きつぶされた1300円のスニーカーは穴が空いていたので早急に新品の靴を買う必要があった。だがもう時間も遅く店も閉まりつつあった。そのことをサークルメンバーに相談すると川端のケイヨーデンツーで安全靴を売ってる情報が得られた。安全靴とは先芯の入ったスニーカーのようなものである。断じて長時間山登りするのに適した靴ではない。その時はまあいいかと思って、¥2500の靴を購入した。その後は普通に学食を食って、無限大文字に備えて仮眠をした。

23:00起床、23:30出立、途中でパンとかを買っていると出発地点の自販機に着くころには00:05になっていた。この時点でもう寒い。温度は7℃で白い息が見えた。しかも小雨が降ってる。体感温度は5℃を下回ってるだろう。持ってきた耳あてと手袋をつけ、登り口に立った。

夜に大文字山に登った人は分かるだろうが、出発点の自販機を過ぎると光源はない。唯一頼れるのはヘッドライトと頭上で輝く月光である。一応今回の企画にあたっての装備をのせておく。

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まあ限界まで軽装で臨んでいることが分かってもらえればいい。とにもかくにも登り始めた。夜の大文字山には過去2回ほど登ったことがあったので道に迷うことはなかった(まあほとんど迷う要素はないが)。順調に登り続け、一人の登山客とすれ違い火床に到着した。

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時間にして約18分である。大文字山からの夜景は素晴らしく、遠く大阪の光も見えた。5分ほど夜景を楽しんでから下り始めた。この時はこの後に起こることも知らず鼻息交じりで下山していた。さて下りも一人の登山客とすれ違っただけで何の問題もなく自販機までたどり着いた。同じように二回目も一人の登山客と2回すれ違いつつ終え…「あれ、この人さっきもいたな」と気づくわけである。こんな時間に大文字山シャトルランをしているのは、夢遊病患者か企画参加者ぐらいである。三回目の登りでまた出会ったので、話しかけてみるとやはり企画参加者であった。@syokubutus(以下 植物の人)と名乗った人物は、トレッキングポールを両手に抱え、いかにもな登山熟練者の風格を出していた。三回目の下山が終わって自販機まで戻ると植物の人が待っていてくれて一緒に登ることになった。登りながら互いの自己紹介や専攻のことを話して楽しく2回の登下山をした。しかし身体に異常が出始めたのは5回目の下山の時であった。手先が不自然に震え、頭がぼうっとしてきた。この感じはどっかで体験したことがある…そうだハンガーノックだ。ハンガーノックは体内のエネルギー不足になったときにおこる現象だ。後で知ったのだが、大文字山を一回上り下りするだけで300 kcalほど消費するらしい。これに従うならいままでで1500 kcalを消費したことになる。5回の大文字山登山は貧弱な自分には苛酷な運動だったらしい。そこで急遽パンを胃袋に収めつつ、体力回復を待った。体力回復後は夜明けまでに2回登り、7回まで記録を伸ばした。しかしここで強烈な睡魔に襲われたため、一度下宿に戻り6時間の睡眠をとった。

休息後は14:30から登山を再開した。休みなしで登り続けていた植物の人に差し入れをしつつ(凄すぎる…)、昼の大文字山を登り続けた。昼の大文字山は夜とうってかわって明るく、紅葉の綺麗な山であった。そんな雰囲気に押されてからか、序盤は飛ばしに飛ばし登り15分、下り12分のペースで回数を稼いでいった。日暮れまでに記録を12まで伸ばし、再び夜を迎えることになった。ところで、大文字山からの景色だがおそらく日暮れ直後が最もエモいと思われた。

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さてこの時ぐらいから左膝に異常を感じるようになった。鈍い痛みというか、このまま続けていると悪いことが起こりそうな痛みであった。無知な自分はそんなことを気にも留めず無理に登り続けていたのだが、13回目下りで突き刺すような痛みへと変わった。これはどう考えてもヤバイ痛みである。急遽歩調をゆっくり目にして、膝をいたわりながら下山した。雑にもんだりしながら登り30分のペースで歩いていると、なんだか痛みが引いてきた。人間、極限状態に陥ると痛みが引くらしいが、それに近い現象だったのかもしれない。おかげで15回目は登り17分ペースで突き進んだ。しかし、一時のごまかしだったらしく、16回目の下りに痛みが再発したため、あえなく断念した。同じく登り続けていた植物の人は21回まで記録を伸ばしたらしい。化け物かよ。

さてこの日の記録は16回であった。しかし、時間が経つにつれ、いろんな反省点が見えてきてもう一度大文字山に登りたい欲が高まってきた。反省点とは以下のようなものである。

  • 食料がパンなどが主だったため、疲れているとき喉を通らなかった。

  • 睡眠をとってしまった

  • ペースに起伏があった

そんな思いを抱きつつ、一週間が過ぎもう一度無限大文字に参加することになってしまったのである。

今回は対策として

  • 過剰量の補給物資(ゼリーなど)を準備

  • 睡眠調整

  • 痛みを飛ばすお薬ロキソニンの準備

  • 山の歩き方をググる

ことをした。

さて12/5になった。二回目の無限大文字のスタートである。前回の反省から無限大文字山の攻略法が見えつつあった。それは「往復40分のペースをどのくらい続けられるか?」というものだ。40分という時間は速くもなく遅くもなくちょうどよいもので、このペースを維持し続けるかどうかが勝負の鍵であると睨んだ。当時、無限大文字山のトップは27回(人外の中の人外)だったので、このペースを18時間続ければよいという計算になる。せっかくならということでこれを目指していることにした。最低20回登れたらいいなとも思っていた。

最初の方は一回目と同じような感じである。異なる点は山頂付近の階段を無限に往復している奇行集団*1を観測したぐらいである。夜明けまでに記録を9まで伸ばしたが、雨が降ってきたので2時間の休息をとった。途中で参加者の@kinnsann624(以下 金原さん)とも出会った。この時は「もしかしたら27回いけるんじゃないか?」と妄想していたことを付け加えておく。休息後、再び往復40分のペースで登り続けていたが、11回目の下りの時に体に異常が起こる。そう、左膝である。一回目の無限大文字山の時と同じく鈍い痛みから激しい痛みに変わった。このことは想定していたのでロキソニンを素早く服用、痛みを抑えた。しかし、この抑えられた痛みもマスキング越しの痛みというか、とにかく嫌な予感を感じさせた。案の定13回目の下りで痛みが再発し、それ以上の登山を断念し下宿に戻った。

そしてとりあえず少し休むか…と思ってベッドに横になったが最期、起きたのは17:15である。実に5:30に及ぶ熟睡である。もちろん文字通りの絶起である。この時点で予定は全部狂ってしまった。とにもかくも再開させないといけないと思い、17:50から再開した。

しかし左膝の痛みが続いていたため、ロキソニンを再注入しつつ登り続けた。すっかり暗くなっていたのだが、推しのVtuberの歌ってみたを聴きながら登り続けた。すでに18回登っていた金原さんに畏怖の念を抱きつつ登り続けた。だがしかし、別の問題が生じた。お腹を壊したのである。理由は明白だ。この男、開始からゼリーと羊羹しか食べていない。しかも睡眠調整という名の生活習慣崩壊を同時にしていたので、内臓が不調をきたすのは必然ともいえる。結局、下山を駆け足で行い、銀閣寺前のトイレまでダッシュする羽目になった。そして16回目の下山。時間は20:00を回っていた。心は完全に折れてかけていた。当初の27回には遠く及ばず、目標の20回にも届かない。下山最中もなぜ自分はこんなことをしているのかと自問していた。しかしここで終わっては今日登った意義が皆無となると言い聞かせ、RedBullを注入し、1回の大文字山登頂を成し遂げ、記録を17まで伸ばした。時間はまだあったが、ここで完全に心が折れてしまいギブアップすることになった。

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まとめ

結果として無限大文字は17回(4位)、全体で26回(4位)の記録だった(一回目の無限大文字分は3回としてカウントされた)。 13回分無駄になっているのもったいなすぎる…

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まあ上位勢が異常すぎる…打ち上げ焼肉で話を聞いていると、あの山に登ったこの山に登ったという話が出てきて強者共は格が違うことを実感させられた。

あと詳しくは測定していないのだが、寮祭期間中だけで、獲得標高9200m、歩行距離100km、消費カロリー13000kcalの運動をしたらしい。

かれこれ2ヶ月分ぐらいの運動をしたのではないだろうか

ともあれ去年はあまり参加できなかった熊野寮祭に参加できて楽しかったです。来年桂か宇治に飛ばされても参加したいな。

*1:どうやら彼らは無限大文字のルールの穴をかいくぐっていたらしい。ルールの中でスタートの自販機について明文化されていなかったため、山頂付近に熊野自販機を設置し、2時間ぐらい火床との間をシャトルランしていたのだという。ちなみに記録は111回だったようだ。