理科系の作文技術 読書記録
世界の工化の推し本だったので読んだ。一読したところ意外に内容が多く、忘れそうになったので適当に記事にしたよ。
とりあえず第一章から第八章の内容が参考になったので箇条書きでまとめた。
- 心得
- 必要なことはすべて記述し、必要なことは書かない
- 事実と意見を明確に分けよ
- それらを順序よく、明快簡潔に記述せよ
- 準備
- 書く前に材料をそろえる必要がある
- 文書の読む対象を確認せよ
- 主題の選定
- 一つの文書は一つの主題に集中すべき
- 長さの制限を考慮せよ
- 読者の予備知識、期待、要求を考慮せよ
- 自分が直接関与した主題にせよ
- 目標規定文をはじめに書け
- 材料集め
- ブレインストーミング?
- 図と表の準備
- 文献
- 文章の組み立て
- 順序
- 序論、本論、結びが基本構成
- 結論は冒頭に一度記述したほうが良い(重点先行主義)
- 序論
- 序論の役割
- 読者が読むべきかどうかを判断する材料を示す
- 予備知識を提供する
- 序論の役割
- 結び
- 必ずしも書く必要はない(一度書いたことを繰り返す必要はない)
- だが書くほうが望ましい
- 順序
- 本論の順序
- 概観の記述から細部の記述をせよ
- 細部の記述の順序
- どの順序で書くかの原則をあらかじめ決めておく
- 原則が守れなさそうだったら最初から書き直す
- 論理展開の順序
- 理論叙述では最も簡明な道に沿って記述せよ、また仮定を浮きだたせよ
- 説得を目的とする場合、臨機応変に対応せよ
- 文章の構成の考え方
- 文章構成とは「目標規定文をにらみながら、集めた材料とその考察を記述の順序・文章の組み立てなどを考慮して、明快な形に構成する作業」である
- 文章構成術
- 構成表
- スケッチノート
- カードによる整理、収束法
パラグラフ
- 条件
- あるトピックについて述べる文の集まり
- トピックセンテンスが存在する
- トピックセンテンスに関係ない情報を一切記述してはならない
- トピックセンテンス
- パラグラフの最初に書くのが推奨される
- 文章を書く最中にも読み返して、トピックセンテンスの存在と目標規定文との関連とを確認し続けなければならない
- 展開部
- トピックセンテンスとの自然なつながりを意識せよ
- 文ごとの関係性を明瞭にせよ
- パラグラフの連結
- パラグラフの配列には必然的な流れがなければならない
- パラグラフ同士の関係性を示す文または句を適宜入れよ
- 条件
文の構造と文章の流れ
- 巨視的な文章の組み立て方
- 逆茂木型の文構造を書いてはいけない
- 一つの文の中には二つ以上の長い前置修飾節を書くな
- 修飾節に修飾節をつけるな
- 文または節は前とのつながりを明らかにするように書け - 長すぎる文章は書くな
- 逆茂木型の文章の流れを書いてはいけない
はっきり言いきるには
- レゲット曰く
- 文を書くたびに正確に何を意味しているかを自問しなくてはならない
- 指示語は明確に何を指すのかを意識しなければならない
- できる限り断定的な言い方をすべきだ
- レゲット曰く
心得
- 特別な表現技術は必要ない
- 受け身は使わずに能動態を使う
事実と意見
- どこまでが事実か、どこからが意見かを見分ける必要がある
- 事実と意見を使い分ける
- 事実と裏打ちのない意見の記述を避ける
- 事実、意見の定義
- 事実
- 自然に起こる現象や自然法則
- 信頼できる文献、調査によって、その真偽が客観的に確認できるもの
- 意見
- 推論
- 判断
- 意見
- 確信
- 仮説
- 理論
- 事実
- どこまでが事実か、どこからが意見かを見分ける必要がある
- 事実、意見の記述
- 事実の記述
- 材料の中で何を書くのかを吟味せよ
- 明確な表現を使え
- 主観に依存する修飾語を使うな
- 意見の記述
- 「私は...と考える」が基本
- 主観に依存する修飾語が意見の核となるときには↑の表現でなくても許される
- 事実と意見の書き分け
- 事実を書いているのか意見を書いているのかを常に意識しなくてはならない
- 事実の記述に意見を入れてはならない
事実として説得する
- 事実の記述は特定的ではっきりして具体的であるほど信憑性が高まる
- 意見は入れずに読者の考察に任せる
わかりやすく簡潔に書く方法
- 文は短くかけ
- 書きたいことを一つ一つ短い文にまとめる
- それらを論理的につなげる
- 主語を意識する
- 各は正しく
- 主語と述語を意識せよ
- ねじれ文を書くな
- 一意に読める文を書く
- 一文を書くたびに読者がそれをどう読み取るかを検討する
- 簡潔に書く
- 必要な要素はもれなく書かなくてはならない
- いらない情報はぎりぎりまで削り、一語一語が欠くべからず役割を持たなくてはならない
- 電報文のような省略をしてはならない
- 文の主節を式で置き換えてはならない、文として式を書くのは許される
- 読みやすさへの配慮
- 奇をてらわず読みやすい文章を書かなくてはならない
- 不必要に難しい漢字や、かたい漢語、独特な表現をしてはならない
- むやみに受け身を使わない(特に翻訳文において)
- 文章中における区切り記号
第九章以降の内容は、学会とか分野でいろいろ違うらしいのであまり読んでなかったりする。
個人的には
- 第八章・・・小学校とかでやった内容
- 第三章、第四章・・・ライリスでやった内容
- 第六章・・・巷でよく言われていること
- 第二章、第九章以降・・・実際にやってみないとわからないやつ
- 第五章、第七章・・・いままであまり意識してこなかった
という印象を得た。特に第七章の「事実と意見」という章は、特に理系である限りはずっと付きまとう問題なように感じた。
全体の流れとしては、
- 第二章~第五章・・・マクロな作文技法
- 第五章~第八章・・・文単位のミクロな作文技法
といった流れなので、前半を習慣として早く身に着けて、忘れたころに後半を何度も読み直すといった活用をしていこうと思う。
この本のいいところは
- 理系向けの作文技法を体系立てて書いてあること
- 著者自身も研究者らしく、例が潤沢であること
- 提案する技法が具体的で、すぐに実行することができること
- 比較的短いのですぐ読み終えることができること
にあると思う。
これは私個人の見解だが、比較的伝統的な記法をする物理書、悪くいってしまえば分かりにくい物理本を読む際にも役立つのではないかと思った。例えば「概観から細部へ」というモットーは普段の学習においても活用できそうだ。