zekeの日記

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量子情報科学入門 読書記録 ~第0章~

読み切れたらいいなあ

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読み始めたきっかけ

量子コンピューターってロマンあるなー、でも巷の解説書は一般向けで大学教養向けがないなと思っていたら見つけた一冊。 パラパラ読んでみたところ、いかつそうな印象を受けたが頑張って読み始めることにした。

序章

量子情報科学の紹介の章。関係ない話だが、本を買う時は内容を俯瞰した章を一読したときにビビッと来たものを買うようにしている。

0.1

量子情報と古典情報の違いなどの紹介。量子的効果を考慮するかで分けられる。情報科学分野において計算と通信の分野で量子的な観点から考え直すことができることを説明している。例えば従来の光ファイバーの長距離伝送で必然的に生じる量子的信号を、古典情報科学ではノイズとして処理するが、量子符号化として割り切ってしまうことで効率的な伝送を可能とする。と書いてあるのだが、よくわからないのでそんなものなんだなあと納得することにする。しかし少なくともよく知られているOSI 7階層参照モデルが崩れる予感がするので大変大事なことがわかる。ここの詳細は第七章で語られるそうだ。

0.2

量子情報科学の将来の展望の話。量子暗号理論というのが社会システムに大きな影響を与えるらしい。なんか聞いたことがある。現在の暗号は計算量的安全性によって守られていると説明がある。これはRSA暗号などが素因数分解問題が困難であることを安全性の根拠にしていることを言っているのだろう。厳密には解けないわけではないが、解くまでに途方もない時間がかかるので実質解読不可能というやつである。対して量子情報科学の世界では情報理論的安全性を保証するらしい。この情報理論的安全性は平文そのものが盗聴者に漏れないという意味である。すごい、完全に通信の秘密を保てるじゃん。また量子計算の分野では従来技術では不可能なアルゴリズムの導入が可能らしい。素因数分解多項式時間で解くShorのアルゴリズムというのが存在してしまい、RSA暗号の解読が可能になってしまう。ここでいう多項式時間は Nが与えられたときにその桁数を kとした時に問題を解くのに a*b ^ kステップかかることを意味している。暗号通信分野でも計算分野でも古典的情報科学を圧倒していて草。どうやら量子計算は状態の重ね合わせをうまく活用することで高度な並列計算を可能とするらしい。大量の高性能なGPUが同時に動いているイメージか。量子計算では並列計算をたださせるだけではなくて、自分の欲しい結果だけをとってくることができるのですごい。これらの仕組みに関しては第三章で説明される予定。楽しみ。量子情報科学は前述したようなシステム(アルゴリズムプロトコル)を理論的に提案する分野と実際に理論を材料力学、物性化学の観点から実証する分野に大別されるそうだ。この本では主に通信と計算分野に関して注視していくようである。

0.3

本書の解説方針についての説明の章。結構筆者の主観が混入している気がする。この本では量子力学をあくまで情報科学の観点から俯瞰することを目的としていて物理現象を中止するわけではないこと、量子力学的体系でこれがこうだからこうと考えるのではなく入力に対する出力を観測する操作主義に基づく説明を行うこと、説明の軸として物理書でよくある歴史的経緯を利用しないことなどを注意している。確かに情報理論で考える以上、複素解析微分方程式、波動論などの量子力学特有の話抜きに説明してくれるのはありがたい。いろいろごちゃごちゃしているとなにがしたいかわかんなくなるし。こうすることで、いろいろな分野に貢献したらしい。これに追随したいところ。

0.4

いっぱい新しい用語が出てきたので整理したい。

  • エンタングルメント:量子もつれのこと。電子のスピンのペアが存在しているとき、未観測の場合状態は2つあるが片方を観測するだけで状態が一つに収束してしまう現象。
  • ユニタリダイナミクス:時間発展のこと。物理系が時間が進むと変化すること。
  • コヒーレンス:量子的重ね合わせが外的要因によって破壊され古典力学的状態、つまり確率的混合に移行すること。量子計算では並列計算された状態が失われることを意味する。

であってるよね?ここら辺は適当にググっただけなのであっているかどうかはわからない。教えて偉い人。量子通信分野ではデコヒーレンスが生じるけど古典的なエラー検出訂正が活用できるので量子情報科学分野で真っ先に実用化されるようだ。ほかにも量子情報科学は周辺の分野に影響を与え続けているようである。

0.5

本書の構成についての説明。

  • 第一章:ベクトルと行列計算による量子論の定式化をする。エンタングルメントを定量化することが大事って書いてあった気がする。物理概念の話と量子bitの測定、量子的演算プロセス下の時間発展、複数の量子bitの合成系の話をする。
  • 第二章:量子計算の基礎と量子回路の説明をする。
  • 第三章:量子計算に本格的に踏み込む。代表的な3つのアルゴリズムを解説するそうだ。個人的にこの章が楽しみ。
  • 第四章:前半は第一章の発展、後半はノイズのある量子情報処理の話が続く。どうやらこのノイズを含む混合状態の理解が難しいとのこと。
  • 第五章:量子系における情報量の話。ここでも出てくるか情報エントロピー
  • 第六章:量子エンタングルメントの話。量子テレポーテーション、超稠密暗号、量子データ圧縮など興味をそそられるテーマが出てくる。
  • 第七章:量子誤り訂正と量子暗号の話。量子伝送技術の話で序章でも結構強調されていたな...

どうやら第一章~第三章までは行列&ベクトル計算&「簡単な」確率計算だけで理解できる内容らしい。どうやら本気を出すのは第四章からのようだ。頑張って取り組んでいきたい所存。